急性腎障害
急性腎障害とは、数時間~数日の間に急激に腎機能が低下する状態です。尿から老廃物を排泄できなくなり、さらに体内の水分量や塩分量など(体液)を調節することができなくなります。
早急に原因を突き止め、その治療を行うとともに、透析治療などで体のバランスを整える必要があります。救急医療を必要とする重篤な疾患です。
早急に原因を突き止め、その治療を行うとともに、透析治療などで体のバランスを整える必要があります。救急医療を必要とする重篤な疾患です。
症状は ?
尿量減少(尿量が減少しない場合もあります)、むくみ(浮腫)、食欲低下、全身倦怠感などが認められます。
検査所見は ?
血液検査では、血清尿素窒素(BUN)、血清クレアチニン(Cr)、カリウム(K)の高値を認めます。
超音波検査やCT検査では、慢性腎臓病と異なり、腎臓の腫大が認められます。
原因 と分類
腎前性・腎性・腎後性に大別されます。
A)腎前性:全身疾患のために腎臓への血流が低下する場合
脱水症,ショック,熱傷,大量出血,うっ血性心不全,肝硬変,腎動脈狭窄症など。
B)腎性:腎臓自体に原因がある場合
腎臓での血流障害
両側腎梗塞,腎動脈血栓,播種性血管内凝固症候群,血栓性血小板減少性紫斑病,溶血性尿毒症症候群など。
糸球体疾患
急性糸球体腎炎,急速進行性糸球体腎炎,ループス腎炎(全身性エリテマトーデス),ANCA関連血管炎,結節性多発性動脈炎など。
尿細管・間質疾患
急性間質性腎炎,急性尿細管壊死(薬剤性,横紋筋融解症など),慢性腎盂腎炎の急性増悪など。
C)腎後性:腎臓より下部の尿路(尿管・膀胱・尿道)に原因がある場合
両側尿管の閉塞、膀胱・尿道の閉塞、骨盤内腫瘍など。
治療は ?
原因に対する治療を第一に行います。 また、腎機能障害が高度の場合には、血液浄化療法を行いながら、原因治療を行います。
A)腎前性
補液(点滴),出血に対しては輸血を行います。
B)腎性
原疾患の加療,保存的加療(水・電解質補正,栄養管理)を行います。
C)腎後性
尿路閉塞の原因除去,尿路系の圧の解除(尿管カテーテル挿入や腎ろう造設など)を行います。
経過・予後は ?
腎機能の回復は、原疾患や合併症の状況によって異なり、 慢性腎不全に移行する場合もあります。